![]() |
|||||
|
|
|
|
|
人間のスピードに帰ろう。原始に帰ろう。 私達現代人は、己の足を使って歩く以外に様々な移動手段を手に入れた。そのため、人間は”二本の足で立ちあがって歩く”事を忘れてしまっている。私達人間は、”立って歩いた”事により、多くのものを手に入れた。文化、文明、いのち、そして現在。人間にとって一番基本的で大切な”歩く”という行為をもう一度見直しませんか?無心に歩いて、歩いて、人間としての、地球上の生物としての己を思い出しませんか? 第2回 ウォーキング・メディテーションin熊野 2003年5月24日 「仏門に目覚める、発心門〜本宮大社」編 ●タイムスケジュール 6:10 「龍神バス」本宮大社行き 田辺駅前 8:00 本宮大社前到着 旧本宮大社跡「大斎原」参拝 8:48 本宮町営「便利バス」発心門王子行き 大社前発 9:05 発心門王子前着 ウォーキング開始(発心門〜本宮大社) 11:00 本宮大社到着 本宮大社参拝 12:05 「龍神バス」田辺行き 本宮大社前発 12:13 川湯温泉着 昼食・温泉に浸かる 15:13 「龍神バス」田辺行き 川湯温泉発 17:03 田辺駅前着 ●熊野古道ウォークコース 発心門王子→水呑王子→伏拝王子→祓戸王子→本宮大社 距離約6km 所要時間約2時間30分 ●ウォーキング・メディテーションのこころえ 本来人間の持つスピードを思い出すために無心で歩く。自然に五感を研ぎ澄ませ、自然に身を委ねて心身共に”熊野”になりきる。 ●持ち物 リュックサック(ナナオ・サカキにならえ)携帯用灰皿、ゴミ袋 今回は、この春から「龍神バス」から発売されている「ほんまもんクーポン」を利用しました。田辺から本宮大社まで本来の運賃の半額2,500円で往復でき、さらに川湯温泉、湯の峰温泉、渡瀬温泉のうち好きな温泉に無料で入れるというかなりお得なクーポンです。古道を歩くなら、これを利用しない手はありません。こんなに便利なクーポンがあるのに、あまり利用者がいないのかバスの運転手さんはあまりクーポンの扱いになれてないみたいでした。利用したい方は、バス会社で使い方をきっちり聞いていかないとぼったくられます。ちなみに私達は川湯温泉の「富士屋」という旅館の温泉を利用しました。露天風呂で、ほとんど貸しきりです。道に面しているので裸を誰かに見られる恐れがあります。まぁ、わたしのように少々露出狂の方は楽しいですが。 今回のウォーキング・メディテーションは、バスの時刻があり時間が限られていたため、私達は一番手ごろなコースを選びました。上に書いたコースは下り坂がほとんどなので、初心者に向いてると思います。龍神バスで本宮大社前に到着した私達は、まず旧本宮大社後の「大斎原(おおゆのはら)」を参りました。その後、市営の「べんりバス」というバスに乗って発心門まで移動しました。「べんりバス」は土曜日と日曜日しか運行されていません。しかも、マイクロバスくらいの小さなバスなのでシーズン時にはとても込み合います。一日2便です。 バスを降りたらまず発心門王子が目の前に現れます。ここは、かつて熊野九十九王子のうちで最も重要視された王子の一つで、社格の高い五体王子(他に滝尻王子・近露王子・湯川王子などがある)でした。今は小さな社があるだけですが、昔は大鳥居がありその前ではらいをして中に入り、それから王子に詣ったようです。発心門はいわば本宮大社の入り口だったのです。その後、30分程歩くと水呑王子に到着しました。もともと小学校分校の敷地であった広場の一角に水呑王子と刻んだ碑があります。名のとおり休憩所となっていたみたいです。なんだか、この一角は異様な雰囲気でした。旧校がかもし出す雰囲気です。この辺りから徐々に山道に入っていきます。40分くらい歩いて次に現れたのは伏拝王子です。本宮旧社地の森が遠望できる場所で、参詣者はここから大社の社殿を拝んだといわれています。確かに高い位置にあり熊野の深い山波が遠くまで見渡すことができました。風も歩き疲れた身体に良い感じです。この王子の下に茶屋があります。そこで少し休憩(トイレ)できるようになってました。その横あたりにある家屋がうわさのNHK朝の連続テレビ小説「ほんまもん」の主人公である木葉の実家です。つい先日撤去されたらしいですが、私達はぎりぎり見ることができました。この一角だけは観光客が多く、水呑王子あたりから一緒に歩いて来た東京のおじさん(一人で来ていたらしい)も興味を惹かれるのか熱心に見入っていました。伏拝王子をすぎると徐々に道が険しくなり、本当の山道になってきます。少々辛いですが、古くから「蟻の熊野詣」と言われた歴史が感じられる苔むした石段がとても美しいです。今度このコースを歩きたいと思った方は、先へ進むことばかり考えず、道の途中で石段を振り返ってみてください。すごいですよ!一時間ばかり急な石段を下っていくと、森が途切れ、急に視界が広り、住宅地みたいなところへ出てきます。そこをしばらく歩くと、最後の祓戸王子です。この王子は現本宮大社のすぐ裏手にあたり、杉やイチイガシの大木のかげに石造りの小さな祠がまつられています。ここは、旅の穢れをはらい清める潔斎所であったものとみられ、それが王子の名前となったと思われます。さて、いよいよ熊野本宮大社です。ここは古来上下の信仰の篤い熊野三山の一つで、上、中、下の三社よりなるので熊野三所権現といわれています。熊野川の中洲が旧社地で、明治22年の大水害に遭い、現在地に移りました。昔の人は、「伊勢に7度、熊野に3度」というくらいココに来る事に憧れをもっていたようです。熊野の険しい山道に耐え身体はぼろぼろでも、この社を目の当たりにすると喜びで胸がいっぱいになったというのです。 旅の途中で息絶えた人もいたようです。山賊に襲われた人もいたようです。それでも京の都から参詣者が後を経たなかった、、。そんな太古からの人々の熊野に対する憧れと執念がこの地に、この古道に、今でも渦巻いているような気がして厳粛な気持ちになりました。 ウォーキング・メディテーションはここでコース終了しました。私達はその足で川湯温泉へ向かいました。川湯温泉は、大塔川沿いにあり河原を掘ればたちまち露天風呂が出来るという野趣に富んだ温泉です。あんなに楽しい温泉はありません。ぜひ足を運んでみて下さい。 〜熊野に捧げる讃歌〜 『発心門〜本宮大社ウォーク編』 著:西尾直子(脚本・ルポルタージュ・小説書いてます) 頭上に高く伸びる樹木の葉の、小道の脇に愛らしく密生したササユリの蕾みの、背中をついて回る悪戯な蜜蜂の、ひとつひとつに、限りある生命の息吹の音がする。それら全ては初夏の日射しの中で、青く深く輝き、大きな音の洪水となって、鼓膜に届いてくる。息を吸えば、人に踏み荒らされることのない腐葉土の匂いが、肺いっぱいに流れこんでくる。 |
|
|