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文・長野 好孝

 和歌山の実家に戻って四年目の秋―毎年、この時期になると、和歌山を離れ戻りカツオを釣りに2ヶ月ほど千葉県は銚子の沖に漁に出ます。
 僕の仕事は漁師です。北は福島県、南は長崎までカツオを追って旅をする。
 各地の港を周っていると様々な食文化に出会います。今回は、和歌山の名物である、カツオについて書くことにします。
 カツオは回遊魚で、1月から6月にかけて黒潮に乗って親潮と合流する茨城の沖合いまで北上し、秋に南下します。春先に北上するものを初カツオといい、秋に南下するものを戻りカツオといいます。
今が旬の戻りは、脂がのっていてたたきにして食べると格別です。
本来、名前の上に「初」を付けるのは5月くらいの初夏の時期らしいですが、最近は温暖化のせいか1月の中旬位には市場に並びます。
秋の脂ののった戻りカツオと違い、初カツオは香りが大事です。ですから調理方法も川目に焼き目を付けて食べるたたきより、生姜醤油や大蒜醤油で食べる刺身の方が良いですね。江戸時代の頃は芥子醤油でも食べていたらしいですよ。伊豆の島々では今でも芥子醤油で食べているところがあります。
 江戸時代といえば、江戸っ子。何でも一番が好きな彼らは、初ガツオを誰よりも早く食べたいので、出始めの値段の高い初カツオを「女房を質に入れても初鰹」て言う位に珍重しています。
 移ろう季節を楽しみながら旬のものを頂く日本の四季の恵みですね・・・・環境破壊が進む昨今、実際魚の数も減っています。未来の子孫にこの豊かな食文化とそれを育む自然環境を残す事が僕たち現代人に課せられた課題であると思います。

文・長野 好孝

 最近、カナダ人の女の子と結婚してカナダに移住した高校時代からの友人がいる。
 彼が去年まで、和歌山で経営していたトラッキンフラワーというBARは、サイケなサウンドを楽しみながら酒を飲めるという、怪しさAAAのBARで、ぼくの安らぎの場のひとつであったが、結婚を機に店じまいした。
 そのBARには、日本人よりも外国人のお客さんが多かったせいかドアを開けて中に入るといつも、独特の無国籍な雰囲気が漂っていた。そのころ知り合った外国人達も、他の国に移ったり、母国に帰ったりみんな旅立っていった。その中で今も和歌山に残っているのは、カナダ人のポール一人になってしまった。彼も12月に京都に引っ越してしまう。
 日本人と違い、彼らはホームパーティーをよく開くので、その度に新しい出会いがある。人間ある程度の年になると、気付かぬうちに自分の価値観という名の塀を築いてしまう。そのため、新しい出会いの回数は自然と減ってくる。
 人との出会いは人生のスパイスのようなものだ。自分にも相手にも新しいきっかけを与えてくれるからである。個々の輪郭を形成するのは、自分を取り囲むすべての人々である。それ故に人種も年齢も関係なくランダムな出会いを提供してくれるパーティーは僕にとって重要な趣味である。

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