地球という神秘なグラウンドで、人間の魂を健全に保つために様々な分野から呼び掛けていきます。大袈裟な題目がついていますが、要はどうでもいい事を徒然なるままに綴っています
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Location 精神世界商店INDEX文学と哲学>2003.06.26



 

サディスト、マゾヒスト、刺激ジャンキー、フリークスに贈る
「おすすめ愛毒本Vol.2」


by Naoko ジャンル ルポルタージュ
世界残酷紀行 死体に目が眩んで/ 釣崎清隆 (リトル・モア)


 −あなたは死体が好きですか?− 
 著者である釣崎さんは、写真家です。もっと厳密に言えば、死体だけを被写体とする写真家です。雑誌「BURST」に作品を連載していますから、氏の写真を見たことがある方も結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。世界各国を旅して撮影した死体の数は1000体以上だそうです。死体を直に見た回数が数えるほどしかなく、死体というものに慣れていない(普通に生きてればまあそれが当たり前なんでしょうが)わたしとしては、何て度胸のある人なんだと思ってしまいます。
 著書はタイ、コロンビア、ロシア、メキシコ、ブラジルでの撮影話を軸にしたルポルタージュで、現地で撮影した作品も掲載されています。読みはじめは、そのあまりの生々しさと、「なかなか死なない」とか「死体が見つからない」とか「土左衛門は臭い」という文句が、淡々と綴られている様に、不愉快を感じるのですが、読みすすめるうちに、不思議な現象が自分の中に起こってくるのを感じます。わたしの場合は不愉快が嘘のように消え、かわりに愛着心のようなものが芽生えてきました。
 タイの撮影旅行記の中に、こんな一文があります。「あけすけな質問だけど、死体、好きか?」「チョーップ・ソップ(死体が好きだあ)!」釣崎さんの質問に対するバンコクのレスキュー隊員の答えです。日本ではありえない答えです。タイは死体の博物館があるくらいの死体大国なのだそうです。タイだけではなく、釣崎さんが回った国々のどれもが、死体の雑誌を普通に販売し、近所の子供が死体見たさにうろうろしているほど、死体に対してオープンな国なようです。その国の文化や経済事情や治安や宗教がそうさせるのでしょうか。コロンビアではサルサを熱狂的に楽しむ延長上に死体があり、ブラジルではカーニバルを狂躁的に楽しむ延長上に死体があり、メキシコでは幼い少女がセックスを売る延長上に死体があります。同レベルで生死が語られるそれらの国は、人間にとって楽園と呼べる国ではないでしょうか。
 日本は死体を覆い隠す国です。幼い頃店頭に並んでいた『デスファイル』も『ジャンク』もいつの間にか姿を消しました。なぜでしょうか。
 「人は死体に目が眩んでいるからこそ目を背けるのだ。」釣崎さんはそう言いながら、こうも述べます。
 「カメラマンは撮ってなんぼだ。エロスとタナトス?何のこっちゃ?俺は死体を撮る。日本人だから死体を撮る。」
 あなたにとって死体は何ですか。死体をどう思いますか。恐いですか?気持ち悪いですか?気になる存在ですか。汚いですか。醜いですか。惨いですか。「死体を好きか?」と聞かれたならば、どう答えるでしょう。この本を読んだ後、是非わたしにこっそり教えて下さい。

 刺激度★★★★★
 危険度☆☆☆☆☆
 フリークス度★★★★☆
 残酷度★★★☆☆
 対象 日本人全般

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